手遅れにならないうちに!記録・文書の視点からのBCP対策を考える

自然災害、感染症の蔓延、テロ、事件、事故などが突発的に不測の事態が発生したとき、事業継続は可能でしょうか。BCP対策は、組織体制づくり、全社的横断組織の確立、事業に対する影響分析、教育・訓練、維持管理など広範囲にわたります。ここでは、記録・文書の視点からBCP対策を考えてみます。 重要な記録が失われてしまえば事業継続は難しくなります。組織にとっての重要な記録とは何か、また、その対策はどのように行ったらよいのでしょうか。

組織にとっての重要な記録「バイタルレコード」

事業を継続する上で必要不可欠な記録や文書のことを「バイタルレコード」といいます。 経済産業省が策定した「事業継続計画策定ガイドライン」には以下のように定義されています。

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特に、企業の存続に関わる文書や代替情報が他に求められない文書(バイタル・レコードと呼ばれる)が失われると、事業に支障を来すことから、そうした文書の特定、複製化や分散管理など管理方法の検討、緊急時の利用・活用手順の検討などを行うことが望まれる。

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※経済産業省「事業継続計画策定ガイドライン」

http://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/secgov-tools.html#bcp-model

また、内閣府の「事業継続ガイドライン」では、以下の記載があります。

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設計図、見取図、品質管理資料等、復旧・代替生産等に必要な文書

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※内閣府 事業継続ガイドライン 第三版(平成25年8月)

http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/keizoku/sk_04.html

具体的にはどんな記録・文書?

■具体的にはどんな記録・文書? このように「バイタルレコード」は、重要業務の実施に不可欠となる経営資源です。 以下は、災害などの発生後の時間の経過で見た文書の具体例です。

①発生時   ・従業員の安否確認のための情報   ・BCPドキュメント   ・顧客の連絡先 ②復旧・復興時   ・緊急時の業務マニュアル   ・事業の回復・復興に不可欠な情報   ・権利業務・債権債務確定のための情報   ・業務移管に必要な情報(図面なども含む)   ・契約書 ③日常業務への復帰   ・知財・PL法関連書類   ・歴史的書類   ・内部統制文書   ・稟議書、議決記録   ・法定保存文書   ・コンプライアンス書類

業種や個々の組織によって差はありますが、概ね上記のような記録については、①と②の段階では、たとえ災害時でも引き出せるようにしておかなければなりません。

記録・文書の整理とそのステータス

そのためにまずは、組織内でどんな記録・文書を持っているか、そのステータス(最重要、重要、一般の分類)を管理できる管理簿の作成が必要です。このような管理簿は、リテンションリスト、ファイル管理表などという名称で呼ばれます。また、文書管理システムでデータベース管理されているところもあります。

※ファイル管理表の例

災害時でも引き出しが可能な方法とは

次にはどのように管理するかなのですが、①の時点では、社会インフラや組織内のインフラ設備も利用できない可能性があります。

  • 電気が来ない。→パソコンが使えない。
  • インターネットがつなかがらない。→クラウドに置いてあるファイルが取り出せない。

などということが発生するかもしれません。その場合にどうやってその情報にアクセスでするのかを検討して準備する必要があります。 対策例として考えられることは、

  • 電気が来なくても見られる。→バッテリーで動作する。電気を使わない媒体を検討する。
  • インターネットにつながらない環境も想定する。→ローカルPCでの動作を検討する。

そして、具体的な対策の例としては、こんな事があげられます。

  • 緊急時に使うノートパソコンを用意しておく。(常に必要ファイルを最新版として更新しておく、バッテリーの充電にも配慮する。)
  • 紙資料にて必要情報の写しを保管しておく。

日常的な管理方法は?

BCP対策も考慮に入れて、日常的な記録・文書はどのように管理すべきでしょうか。

・電子ファイルの取扱い

まずは、電子ファイルについて考えてみましょう。

・クラウドシステムの利用 東日本大震災の際に、市役所などが津波に襲われサーバーにも泥水がかぶり、記録が失われたという事象が多数発生しました。もし、クラウドシステム上にそれらの記録があったなら記録を喪失することはなかったでしょう。 クラウドシステムの利点はこのように、もし自社のエリアで災害などが発生したとしても、クラウド上にあるデータには影響を及ぼさないことにあります。しかし、停電やその他のインフラが復旧しないと利用は再開できません。また、クラウドサービス事業者側で問題が発生して影響を及ぶこともあります。業務をどのくらい時間で復旧させるかの目標復旧時間を定める場合には、システム停止の許容可能時間の確認や、要件に満たない場合には2重化の検討も必要になることがあります。

・サーバーは遠隔地に双子にする 常に同期のとられた状態を担保するサーバーシステムの導入が行われており、データが「分散化」され、別の場所にあったなら記録の喪失はなかったかもしれません。 自社にある同じサーバーを本社と支社などとで2重化して運用することになります。

・バックアップメディアを別途保管 定期的に取得しているサーバーのバックアップについて、メディアを安全なところに保管してあれば記録の喪失はなかったかもしれません。 本社で取得したサーバーバックアップメディアは、「分散化」を意識して支社などで保管ということになります。

紙資料の取扱い

紙(原本)はどうか考えたらいいのでしょうか。

・紙資料(原本)はどうする? 津波に襲われた重要書類を見たことがあります。幸いにも波にさらわれることなく残存はしていたのですが、水が乾き1枚づつがパリパリの状態になり、また、泥もかぶっていたので使用するには洗浄が必要でした。

・電子化 まだまだ、原本性が重視されるとはいえ、電子化してクラウド上に配置するのも解決策の1つです。 重要な記録が紙の原本のみで本社にしか置いていないとなれば、何ともこころもとない話です。 また、利便性を考慮して頻繁に利用する文書の場合は、やはり電子化を推奨します。

・倉庫保管 保管が重要であるがほとんど見ることがないものに関しては、安全な倉庫に保管するのも1つの方法です。

BCP対策として、今一度、記録・文書について検討しましょう。

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